第17回European Hair Research Societyで学会発表
6月24日~26日、東欧のジョージア(旧名称、グルジア)の首都トビリシで第17回European Hair Research Societyの学会が開催されました。毛髪の研究や診療を行う医師、研究者が一同に集まり最新の知見について報告、意見交換しました。
我々は、昨年から進めている超高分解能頭皮MRIについて発表してきました。本研究は、男性型脱毛症の診察において毛の数や量を客観的に評価すること、数値化して評価することを目標にした、防衛医科大学校放射線科、東京電機大学理工学部との共同研究です。
薄毛の悩みは見た目の悩みであり、同じ毛の量であってもその評価は多分に主観的なものとなります。医師と患者様との認識の溝を埋め、また僅かな毛量の増減についても正しく患者様にお伝えする為に、毛の量の客観的評価、数値化した評価が望まれます。一般的には頭部MRIでは2-3mm程度の腫瘍を見つけるのが限界ですが、防衛医科大学校放射線科の協力により我々は200-300μmの毛包をMRIで撮影することに成功しました。今後は画像をもとに毛の数や太さを数値化することを課題として研究を進めていきます。現在、東京電機大学理工学部がそのプログラム開発に協力してくださっています。新しい検査法が診療や研究に活かせることを目指します。
同学会では韓国のWon-SooLee先生が、デュタステリド(日本名:ザガーロ)の効果と安全性について最新の情報を報告されました。
デュタステリドは最近になって日本でも男性型脱毛症の治療薬として販売が開始されましたが、男性型脱毛症への適応は韓国が先輩になります。日本でザガーロが認可される前から、我々はLee先生を招待して勉強会を開くなど情報収集に努めてまいりました。
以前より確認している情報と経験した事例に基づいて、これまで以上に患者様一人ひとりにあった、安全かつ効果的な治療を提案していけるものと確信しております。
小山太郎(NPO法人F.M.L.理事)