毛髪治療とは

男性型脱毛症とは?

 男性型脱毛症(androgenetic alopecia)は思春期以降に始まり、頭髪が前頭部と頭頂部中心に徐々に進行する脱毛症です。脱毛は生理的な現象ではあるが外見上の印象を大きく左右するのでQOL(Quality of life;生活の質)に与える影響は大きいとされています。
全国には約1200万人いると言われ40代の男性の30%に認められる病態で、その発症には遺伝とともに男性ホルモンが関与していることが明らかにされています。

女性型脱毛症

 女性型脱毛症は閉経後以降(高齢)の女性に見られるのが一般的ですが、近年では40歳前後の人にも発症するようになりました。
男性型脱毛症のように生え際からの進行ではなく、頭頂部を中心として毛の数が減り、細くなるのが特徴です。男性のように軟毛化も見られません。最も多い女性型脱毛症は髪の分け目を中心として頭髪の全体的に疎の状態になるびまん性脱毛症です。

男性型及び女性型脱毛症の治療法

 本邦では2010年4月13日に日本皮膚科学会から男性型脱毛症診療のガイドライン(2010年版)がはじめて発表されました。その後2017年12月20日に男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版としてアップデートされました。
男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版では以下のような治療のまとめがされています。

表1 Clinical Question(CQ)のまとめ
No Clinical Question 推奨度
CQ1 フィナステリドの内服は有用か? A(男性型脱毛症)
D(女性型脱毛症)
CQ2 デュタステリドの内服は有用か? A(男性型脱毛症)
D(女性型脱毛症)
CQ3 ミノキシジルの外用は有用か? A
CQ4 植毛術は有用か? 自毛植毛術は
B(男性型脱毛症)
C1(女性型脱毛症)
人工毛植毛術はD
CQ5 LEDおよび低出力レーザー照射は有用か? B
CQ6 アデノシンの外用は有用か? B(男性型脱毛症)
C1(女性型脱毛症)
CQ7 カルプロニウム塩化物の外用は有用か? C1
CQ8 t-フラバノンの外用は有用か? C1
CQ9 サイトプリンおよびペンタデカンの外用は有用か? C1
CQ10 ケトコナゾールの外用は有用か? C1
CQ11 かつらの着用は有用か? C1
CQ12 ビマトプロストおよびラタノプロストの外用は有用か? C2
CQ13 成長因子導入および細胞移植療法は有用か? C2
CQ14 ミノキシジルの内服は有用か? D
【推奨度の分類】

A. 行うよう強く勧める
B. 行うよう勧める
C1. 行ってもよい
C2. 行わない方がよい
D. 行うべきではない

男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版より抜粋

医薬品内服薬および外用薬についての解説

フィナステリド

 1992年に米国で前立腺肥大の治療薬としてプロスカー®(フィナステリド5mg錠)の商品名で認可されました。しかし、その後1mg用量での研究によって、男性型脱毛症において毛髪の成長が明らかになり、1997年12月、FDAは低用量のフィナステリドを男性型脱毛症の治療薬として認可しました。本邦では、1年間の臨床試験を終え、2005年10月に厚生労働省に男性型脱毛症用薬として承認され、同年12月に発売となりました。
フィナステリドはテストステロンをより強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換するⅡ型5α還元酵素に対する阻害薬です。男性型脱毛症に対するフィナステリド内服の発毛効果に関して、高い水準の根拠があるので、上記ガイドラインでは男性において内服療法を行うよう強く勧めています。しかし女性の脱毛症には内服療法を行うべきではないと警告しています。

デュタステリド

 2001年11月、米国でFDAが前立腺肥大症治療薬としてアボダード®(デュタステリド0.5mgカプセル)の商品名で承認されました。本邦では2009年7月、厚生労働省に前立腺肥大症治療薬として承認され、日本では2015年9月に男性型脱毛症治療薬として承認されました。その後、グラクソ・スミスクライン(GSK)社から2016年6月に発売されました。
デュタステリドは、テストステロンをより強力なジヒドロテストステロン(DHT)に変換する5α還元酵素のⅠ型およびⅡ型の両者に対する阻害剤です。半減期はフィナステリドよりも非常に長く、3.4±1.2週間です。上記ガイドラインでは男性において内服療法を行うよう強く勧めています。しかし女性の脱毛症には内服療法を行うべきではないと警告しています。

ミノキシジル

 1960年代にアップジョン社が創製し、降圧薬として用いられていました。しかし副作用として体毛が濃くなる現象が発見され、1980年代に同社が脱毛症の治療用として2%のミノキシジル外用溶液をロゲイン®という商品名で販売し始めました。本邦ではミノキシジル成分の医療用医薬品は未発売ですが、一般用医薬品として1999年大正製薬からミノキシジル成分1%のリアップとして発売が開始されました。さらに2009年にはミノキシジルを5%配合したリアップX5(男性用)が発売されました。
発毛のメカニズムについては、ATP感受性Kチャネル開口によって毛乳頭細胞においてVEGFやβ-cateninが発現するなど論文は散見されるが、詳細なメカニズムは未だ分かっていません。同じ男性型脱毛症の治療薬のフィナステリドとは薬理作用が異なるので併用が可能であり、また併用した方がそれぞれを個別に使用するよりも発毛効果を高める事できるとされています。上記ガイドラインでは男性型脱毛症には5%ミノキシジル、また女性型脱毛症には1%ミノキシジルを外用するよう強く勧めています。

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